民法 物権|質権の設定の可否
民法の「なぜ?」を解説します
譲渡が許されていないものに質権を設定できないのはなぜ?
法律上、譲渡が許されていないもの(例:一身専属権、地役権、麻薬など)には、質権を設定できないとされています(民法343条)。
なぜ、このような制限があるでしょうか?
質権を実行するときに換金できず 弁済が受けられないから
質権設定者が債務を弁済できなかった場合、原則として質物は裁判所による競売にかけられ、換価された後、質権者が弁済を受けます。
もし、譲渡できないものに質権を設定できてしまうと、質権を実行しようとしても換価できないので、質権者は弁済を受けられなくなってしまいます。
それが不都合なので、譲渡できないものには質権を設定できないことになっています。
ちなみに
生活必需品など差押が禁止されているものであっても、譲渡が可能であれば質権を設定できます。
この差押禁止規定は債務者の最低限の生活を守るための規定ですが、債務者本人がそれを質入れしたいというのであれば、法律はそれ以上に口出しをせず、質入れを可能にしようという趣旨です。