民法 総則|第三者の詐欺
民法の「なぜ?」を解説します
詐欺の取消ができる場合とできない場合があるのはなぜ?
第三者から詐欺を受けた場合、相手方が詐欺について善意であれば取消せませんが、悪意であれば取消せます(民法96条2項)。
たとえば、下図のAがCの詐欺により、Bに土地を売ってしまった場合、Cの詐欺についてBが善意であれば取消せませんが、悪意であれば取消せます。
なぜ、このような違いがあるのでしょうか?
AとBの帰責性の程度を比較して考えます
相手方(B)が善意である場合、詐欺の事情を知らないBよりは、騙された本人(A)のほうが悪いだろうと考え、Aに責任を負わせます。
結果として、Bが土地を取得できます。
それに対し、Bが悪意であれば、詐欺の事情を知っているBよりは、騙されたAの方が帰責性(落ち度)が弱いと考え、Aを保護します。
結果として、Aは土地の売買契約を取消すことができます。
ちなみに
上図のBが悪意の場合、詐欺をした第三者(C)とBは裏で通じていることが多いです。
上図の例では、「CがAを騙して、Bが土地を得る」という目的でグルになっている場合です。