民法 総則|無権代理と相続
民法の「なぜ?」を解説します
無権代理行為が有効になる場合とならない場合があるのはなぜ?
無権代理人が本人を相続した場合は、無権代理行為は当然に有効となります。
しかし逆に、本人が無権代理人を相続した場合は、当然に有効とはならず、本人は追認拒絶ができます。
なぜ、そのよう違いがあるのでしょうか?
前者:信義則 後者:本人の保護 で考えます
まず、無権代理人が本人を相続した場合、無権代理の効果が有効にならないとなると、信義誠実の原則に反します。
たとえば、無権代理人が本人所有の土地を売却したあとに本人が死亡して相続した場合に、「相続で土地が私のものになったから、売却(代理行為)は取消して、土地は私のものです」というのは道理が通りません。
取引をした相手方もかわいそうですね。
そのため、この場合は無権代理行為は当然に有効となります。
それに対し、本人が無権代理人を相続した場合、無権代理人が勝手に行ったことを当然に有効とされてしまっては、本人が無権代理の責任を当然に取ることとなってしまうため、かわいそうです。
そのため、この場合本人は追認拒絶ができることになっています。
ただし、本人は無権代理人の責任も相続することになるので、相手方に無権代理の責任を追及されるおそれは残ります。