民法 総則|自己契約と双方代理の禁止

民法の「なぜ?」を解説します

自己契約と双方代理が原則禁止なのはなぜ?

自己契約と双方代理の関係は以下の図のようになりますが、これは原則として禁止されています(民法108条)。
なぜでしょうか?

自己契約と双方代理

本人(契約の効果が帰属する人)が害されるおそれがあるから

1人の一存で契約内容が決まってしまうため、本人(契約の効果が帰属する人)が害されるおそれがあります。

たとえば、上図の場合、自己契約と双方代理の両方とも、Bの気分次第で契約内容が決まってしまい、当事者の一方にとって不利な契約が結ばれてしまうおそれがあります。

これを防止するために、自己契約と双方代理は原則として禁止されています。

ちなみに

自己契約と双方代理の禁止の例外として、以下の行為は許容されています。

  1. 債務の履行(108条但書)
  2. 本人の利益を害するおそれのない場合
  3. 本人の承諾がある場合

1については、債務の本旨に従った履行に限ります。
許容されない例としては、代物弁済が挙げられます。
これは、「実際の債務」と「代物の価値」にズレがある場合、一方が得をして他方が損をしてしまい、不平等になってしまうからです。

2についての具体例としては、契約が成立したあとの登記申請が挙げられます。
これは、すでに決まっていることを代理人が申請するだけなので、本人を害するおそれはありません。

3については、本人が良いと言っているのであれば、あえて禁止とする必要はないということです。

実務小話

僕の事務所では、双方代理になりそうな案件がありました。

僕は、ご依頼者様(仮にAさん)の意思に従って、相手方(仮にBさん)に対する請求書面を作ったのですが、その書面の内容から、Bさんが僕のことを信用してくださいました。
そこで、そのBさんからも、同じ件について依頼したいといわれたことがあります。

そうなると、その案件を僕の一存でどうにでも処理できる状態になってしまいます。

その状態はさすがにまずいので、Bさんには、次のとおり回答差し上げました。

「まずはAさんと十分にお話し合いになられてみてはいかがでしょうか。
そこで解決内容が決まりましたら、BさんとAさんのために、書面をお作りしたいと思います。」

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