民法 総則|心裡留保の効力
民法の「なぜ?」を解説します
心裡留保が無効になる場合があるのはなぜ?
心裡留保の効果は原則有効ですが(民法93条本文)、相手方がその心裡留保について悪意または有過失であれば無効となります(同条但書)。
これを平たく言うと、「ウソをついたとしても、そのウソを相手方が知っていれば、そのウソは無効になる」ということですが、なぜそうなるのでしょうか?
相手方を保護する状況ではないから
原則有効にしている理由は、心裡留保による表示を信じてしまっ相手方を保護してあげることにあります。
しかし、その相手方が悪意または有過失であれば、保護してあげる必要はありません。
もしこの場合まで有効にしてしまうと、たとえば、友達同士の一方が冗談で「家を買ってあげるよ」と言った場合、言った本人はそれを実現しなければいけないことになります。
通常、特別な関係でなければ家を買ってもらえることなどないので、その発言については相手方も心裡留保であることに気付いているはずであり、もしそれに気付かなければ過失があったと見て、無効となります。