民法 総則|意思表示の効力発生時期

民法の「なぜ?」を解説します

発信主義を採用する場合があるのはなぜ?

(郵便でのやり取りをイメージしてください)

意思表示の効力発生時期は、原則として相手にその意思が到達したときですが(到達主義)、例外として、以下の場合は、意思を“発信”したときに効力が発生するとされています(発信主義)。

  1. 制限能力者の相手方の催告に対する確答(19条)
  2. 契約に対する承諾(526条)
  3. 株主総会の招集通知(商法232条)

なぜ、これらの場合には発信主義を採用するのでしょうか?

1 制限行為能力者を保護するため

上記1は、制限行為能力者を保護するためです。

たとえば、制限行為能力者の相手方が、その保護者に対し10日以内に確答を求めたとします。
ここで保護者は10日以内に取消の発信をすれば、相手方への到達が10日を越えても取消とされます。

もしこの場面で到達主義を採用すると、到達が10日を超えると、期限を過ぎた到達となるので、制限行為能力者の行為は取消せなくなってしまいます。

一般的に制限行為能力者の行為は、取消の方向に持っていったほうが保護できる結果になることが多いため、ここでは発信主義を採用しています。

2 契約の迅速性を重視するため

上記2は、契約の迅速性を重視する趣旨で、発信主義とされています。
これにより、不安定な地位を1日でも早く解消することにつながります。

3 団体の利益を優先するため

上記3は、団体の利益を優先するためです。

たとえば、株主が何千人といるような場合、その中の1人に招集通知が到達していないから株主総会が開催されないとなると、何千人もの人にとって都合の悪い事態になってしまいます。

それだと大勢の人が困るので、発信主義を採用して、招集通知を発送さえすれば効力発生としました。

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