民法 総則|寄付財産の帰属時期(財団法人)
民法の「なぜ?」を解説します
寄付財産の帰属時期が「遺言の効力が生じたとき」なのはなぜ?
※ 旧条文の解説になります
原則として設立された法人に財産が帰属する時期は、主務官庁による設立の許可があったときですが(民法旧34条)、財団法人設立者が遺言で寄付行為を行った場合、寄付財産の帰属時期は「遺言の効力が生じたとき」となっています(民法旧42条2項)。
なぜ、このような規定を置いているのでしょうか?
財団法人設立者の意思を保護するため
相続人による相続財産の浪費を防止し、財団法人設立者の意思を保護する趣旨です。
もし「設立の許可があったとき」としてしまったら、遺言の効力発生から許可があるまでの間、相続人による相続財産の浪費が可能になってしまいます。
そうなると、財団法人を設立できなくなってしまうかもしれませんし、設立できたとしても、悪い影響が出る恐れもあります。
これでは財団法人設立者の意思に反するので、財団法人設立者が遺言で寄付行為を行った場合は、「遺言の効力が生じたとき」に寄付財産が法人に帰属することとされています。