民法 総則|未成年者の行為能力2
民法の「なぜ?」を解説します
保護者が営業の種類を特定しないで許可することができないのは?
未成年者でも保護者に許可された営業に関する行為は単独で有効に行えます(民法6条1項)。
ただし保護者は、営業の種類を特定しないで許可することはできず、一種または数種の営業に限定して許可しなければなりません。
たとえば、「営業に関することなら何でもやっていいよ」という許可はできず、「肉を売る仕事はやっていいよ」という許可はできます。
なぜ、そのように限定して許可しなければならないのでしょうか?
未成年者が下手な取引をして損害を被るおそれがあるから
未成年者は成年者に比べると利益バランスの判断が未熟なため、営業の全部を許可してしまうと、下手な取引をして損害を被るおそれがあります。
そのような損害を未然に防止するために、保護者は、一種または数種の営業に限定して、許可を与えなければならないとされています。
ちなみに
一種の営業のうちの、一部についてだけ許可することはできないとされています。
たとえば、お肉屋さんを営んでいるお父さんが、息子(未成年者)に「鶏肉は売っていいけど牛肉はダメ」といった許可の仕方はできません。
もしこのような許可を認めるとなると、息子から牛肉を買ったお客さんは、あとでこの取引を取消されてしまうおそれが出てきます。
これではお客さんも迷惑なので、このような許可の仕方はできないとされています。