憲法 人権|自白と科刑
憲法の「なぜ?」を解説します
自白のみでは刑罰を科されないのはなぜ?
憲法38条3項では「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と定めています。
これを言い換えると、自白以外に証拠がなければ刑罰を科されないということです。
本人が自白して認めていれば、刑罰を科してもいい気もしますが、なぜ自白以外に証拠がなければ刑罰を科されないのでしょうか?
自白が真実ではない可能性があるから
たとえば、ヤクザの親分が犯罪を犯したあと、子分が身代わりとして出頭し、自白したとします。
この場合、その自白だけで刑罰を科すことができてしまうと、犯罪を犯した親分は罪から逃れて、犯罪を犯していない子分に刑罰を科してしまうことになります。
これは普通に考えてもまずいですよね。
刑罰は真実に基づいて科されないと正義が守れないことから、唯一の証拠が本人の自白である場合には刑罰を科すことができないとされています。
ちなみに
憲法38条3項の例外として判例は、公判廷(裁判の法廷)での自白の場合であれば、それ以外の証拠がなくても刑罰を科すことができるとしました。
これは、「公判廷では被告に弁護人もついているし、裁判官、検察官、傍聴人など大勢の人がいる前で、嘘は言えないだろう」という考え方ができるからです。