憲法 人権|反論権(サンケイ新聞反論文掲載請求事件)
憲法の「なぜ?」を解説します
反論文の掲載が認められなかったのはなぜ?
自民党がサンケイ新聞に掲載した広告によって、共産党が名誉を毀損されたとして無修正かつ無料で反論文の掲載を請求した事件について、判例はこれを認めませんでした(サンケイ新聞反論文掲載請求事件)。
なぜ判例は、反論文の掲載を認めなかったのでしょうか?
マスメディアの報道の自由が害されてしまうから
もし反論権が安易に認められたら、マスメディアは編集方針で掲載すべきでないものであっても、掲載を強制されることになるため、報道の自由が害されます。
また、反論のために紙面を割かなければならなくなるなどの負担を強いられることになると、その負担をおそれて批判的記事の掲載をちゅうちょさせることになり、憲法の保障する表現の自由を間接的に害するおそれもあります。
そのため判例は、具体的な成文法の根拠がない限り、認めることはできないとしました。