憲法 人権|政教分離規定(津地鎮祭事件 / 愛媛玉串料事件)

憲法の「なぜ?」を解説します

津地鎮祭事件と愛媛玉串料事件の結論が分かれたのはなぜ?

政教分離規定が問題となった事件について判例は、神社神道の儀式に則った地鎮祭に対して公費を支出した市の行為は宗教的活動に当たらず、合憲としました(津地鎮祭事件判決)。

それに対し、靖国神社に玉串料などの名目で公費を支出した県の行為は宗教的活動に当たり、違憲としました(愛媛玉串料事件判決)。

なぜ判例は、このように結論が分かれたのでしょうか?

宗教的活動に当たるかどうかで判断しているから

判例は、宗教的活動に当たるかどうか(違憲になるかどうか)は、「行為の目的が宗教的な意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉等」に当たるかどうかという基準を用いて判断します(目的効果基準)。

この基準によると、津地鎮祭事件判決は、「地鎮祭は単なる行事であり、宗教性はない」と考えられているため、市の公費支出は宗教的活動には当たらないとされました。

それに対し、愛媛玉串料事件判決は、「神社自体がその境内で行う重要な祭祀に対しての公費の支出であるため、宗教的意義を持ち、社会的儀礼にすぎないものではない」とされ、宗教的活動に当たるとされました。

このように、上記の目的効果基準を用いて判決が出されているため、一見似たような事件でも結論が分かれています。

ちなみに

愛媛玉串料事件のほうは、判決を出した裁判官15名のうち2名は、合憲であるとの反対意見を出していたようです。

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