憲法 人権|合憲性判定基準
憲法の「なぜ?」を解説します
精神的自由権と経済的自由権の合憲性判定基準は?
合憲性を判定する基準について判例は、以下のように判断しています(二重の基準論)。
- 精神的自由権を規制する立法 → 厳格な基準(違憲になりやすい)
- 経済的自由権を規制する立法 → 緩やかな基準(合憲になりやすい)
なぜ、このように基準を分けて判断しているのでしょうか?
人としての生き方に関わる自由を重要視しているから
精神的自由権を規制する立法は、国民にとって大変重要である精神的な自由に対する規制です。
もしそれを広く認めてしまうと、国民は、人としての生き方に関わる自由を大きく縛られてしまうことになってしまいます。
そのため判例は、精神的自由権を規制する立法については厳格な基準を使い、違憲になりやすい(国が規制できる範囲が小さくなる)ように判断しています。
それに対し、経済的自由権を規制する立法は、経済的弱者を保護し、強者を規制する性質を持っています。
基本的には自由経済ではありますが、貧富の差があまりにも大きくなってしまうのも、良い社会とは言えません。
そのため判例は、経済的自由権を規制する立法についてはは緩やかな基準を使い、合憲になりやすい(国が規制できる範囲が大きくなる)ように判断しています。
なお、経済的自由権に関する規制立法は、内在的制約(憲法に内在している人権保護に関する制約)と、政策的制約(経済政策)に分けられ、前者の方が厳しい基準(違憲になりやすい)で判断しています。
ちなみに
実際の判例は、この合憲性判定基準を必ず用いているとは限りません。