行政事件訴訟法|自動車運転免許の停止・取消に対する訴えの利益
行政事件訴訟法の「なぜ?」を解説します
自動車運転免許の停止処分と取消処分で判例が分かれたのはなぜ?
取消訴訟の提起は、取消を求める法律上の利益を有する者(回復すべき法律上の利益を有する者も含む)に限られます(行政事件訴訟法9条)。
その問題として判例は、免許“停止”処分の取消を求める訴えについて、その停止期間を経過し、かつ処分の日から無違反無処分で1年を経過した場合には認めませんでした。
それに対し、免許“取消”処分の取消を求める訴えについては、免許の有効期間が切れた場合でも認めました。
似たような問題なのに、なぜ判例はこのように分かれたのでしょうか?
処分取消で原告の現状が変わりうるかどうかで分かれます
まず、免許“停止”処分の場合、その停止期間を経過していれば、停止処分の効力は消滅しています。
そうなると、原告はわざわざ取消訴訟を提起しなくても、道路交通法上では何ら不自由なく、運転できることになります。
そのため、訴えの利益はないとし、取消訴訟の提起を認めませんでした。
それに対し、免許“取消”処分の場合は、免許の有効期間が切れていたとしても、取消処分を取消すことによって、免許の更新ができるようになります。
そうなると、免許を復活させることができます。
そのため、訴えの利益はあるとして、取消訴訟の提起を認めました。
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